鋳鉄のスキレットで焼いた厚切りのステーキ。表面全体に濃い茶色の焼き色がつき、ところどころ黒っぽい焦げ目がある
料理科学

メイラード反応とカラメル化:焼き色と香りの正体

地域
メキシコ・アメリカ・中南米
公開

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よく熱したスキレットでステーキを焼き、裏返したときに現れる濃い茶色の焼き色。タコス屋の鉄板で焼かれる肉の香ばしさや、フライパンでゆっくり茶色くなっていく玉ねぎの甘い香り。焼いた料理がおいしく感じられるのは、この「茶色」と「香り」があるからです。でも、生の肉や玉ねぎは、なぜ焼くと茶色くなり、あの香りが出るのでしょうか。

焼き色の正体は、主に「メイラード反応」と「カラメル化」という2つの化学反応です。名前は聞いたことがあっても、違いまで説明できる人は多くないかもしれません。「強火で焼き付けると肉汁が閉じ込められる」という、よく聞く話が本当かどうかも、この2つの反応を知ると見えてきます。

メイラード反応:アミノ酸と糖が作る焼き色

アミノ酸と「還元糖」の反応

メイラード反応は、食材に含まれるアミノ酸(たんぱく質のもとになる成分)と、還元糖が熱で反応して、茶色の色と香ばしい香りを作る反応です。還元糖とは、ぶどう糖(グルコース)や果糖(フルクトース)のように、反応しやすい形を持った糖のことです。砂糖(ショ糖)はそのままでは還元糖ではありません。

名前は、1912年にこの反応を初めて報告したフランスの化学者ルイ・カミーユ・メイヤールから来ています。トーストの焼き色や、焙煎したコーヒーの色と香りも、この反応によるものです。茶色の正体は、反応の最後にできる「メラノイジン」という物質です。

何百種類もの香りの成分

メイラード反応は、たくさんの反応が連なったものです。アメリカの料理研究機関アメリカズ・テスト・キッチン(ATK)は、反応の道すじは多く、何百種類もの化合物ができうると説明しています。香りは主に香ばしい焙煎の香りで、花のような香りや土のような香りも混ざります。もとになるアミノ酸の種類によって、できる香りも変わります。

たとえば、反応の途中でできる「メチオナール」は、焼いた肉の主な香りのひとつです。クラッカーのような香りや、炊いたご飯の香りの成分も、メイラード反応でできます。

温度の目安

メイラード反応は、おおよそ120℃前後から始まります。140〜165℃あたりになると、反応は勢いよく進みます。

さらに温度を上げると、糖だけが分解するカラメル化が加わり、その先は焦げ(炭化)になります。

焼き色は、表面が乾いてからつく

水があるうちは100℃で止まる

肉や野菜の表面がぬれていると、熱は水を蒸発させるのに使われます。水が残っているあいだ、表面の温度は水の沸点の100℃あたりで止まります。メイラード反応が勢いよく進む140℃前後には届きません。焼き色がつき始めるのは、表面の水分が飛んで乾き、温度が100℃を超えてからです。

ゆでた肉が茶色くならないのも、ふたをして焼くと焼き色がつきにくいのも、同じ理由です。

ただし、カラカラに乾かしすぎてもいけません。メイラード反応は水が少なすぎると、かえって遅くなります。表面は乾いていて、中にはまだ水分がある状態が、いちばん焼き色がつきやすい状態です。

水けをふく・塩のタイミング・詰め込まない

コツは、どれも表面の温度を早く100℃以上にするためのものです。

  • 水けをふく:焼く前に、キッチンペーパーで肉の表面の水けをよくふきます。マリネした肉も、マリネ液をふき取ってから焼きます。
  • 塩は直前か、40分以上前に:塩をふると、肉の表面から水分が出てきます。この水分は、時間がたつと肉に吸い戻されます。塩をふってからしばらくは表面がぬれているので、焼くなら塩をふった直後か、40分以上たってからにします。料理科学の本『The Food Lab』の著者ケンジ・ロペス=アルトは、塩をしたステーキを冷蔵庫でひと晩ラップをせずに置き、表面を乾かしてから焼いています。
  • フライパンに詰め込まない:肉を一度にたくさん入れると、肉から出た水蒸気が逃げずにたまり、フライパンの温度も下がります。肉と肉のあいだにすき間をあけ、水蒸気が逃げられるようにします。多いときは何回かに分けて焼きます。
  • 油を薄くひく:油は空気より熱をよく伝え、肉とフライパンのあいだの小さなすき間を埋めます。表面全体に、むらなく焼き色がつきやすくなります。

見出し画像のステーキは、鋳鉄のスキレットで焼いています。スキレットは、煙が出始めるくらいまでよく予熱してから肉をのせます(Amazon|楽天)。

メキシコ北部のカルネ・アサーダは、薄い牛肉を強火で一気に焼き、焦げ目の香ばしさを味わう焼き肉です。薄い肉は中まで火が通るのが早いので、表面が乾いて焼き色がつくまでの時間を、できるだけ短くするのがポイントです。この料理の作り方は、こちらの記事で紹介しています。

本場カルネ・アサーダのレシピメキシコ北部の焼き肉カルネ・アサーダを、炭火の代わりに煙が出るまで熱した鋳鉄のスキレットで。柑橘とにんにくで短くマリネしたハラミを強火で焼き、刻んでタコスに。メイラード反応、マリネの効き方、繊維を断つ切り方を料理科学で解説します。

アルカリ性にすると速く進む

メイラード反応は、アルカリ性の環境で速く進みます。アミノ酸の反応しやすい部分が、アルカリ性で働きやすくなるからです。

プレッツェルの濃い茶色は、焼く前に生地を強いアルカリの液にくぐらせてつけます。ATKは、ステーキに重曹(炭酸水素ナトリウム)を使って焼き色をつけやすくする方法も紹介しています。

逆に、酸性に傾くほど、メイラード反応は進みにくくなります。

カラメル化:糖だけで起きる焼き色

糖が熱で分解する反応

カラメル化は、糖だけが熱で分解して、茶色の色と香りを作る反応です。アミノ酸は必要ありません。砂糖を鍋で熱すると、溶けて透明になったあと、だんだん茶色くなってカラメルソースになります。これがカラメル化です。

糖は熱で水が抜け、形を変え、小さな分子に分かれたり、大きな分子につながったりします。小さな分子は香りのもとになり、大きくつながった分子が茶色の色になります。カラメルのバターのような香りのもとのひとつは「ジアセチル」という成分です。

糖の種類で温度が違う

カラメル化が始まる温度は、糖の種類によって大きく違います。

  • 果糖(フルクトース):105〜110℃前後。果物に多い糖で、いちばん低い温度から始まります
  • ぶどう糖(グルコース):150℃前後
  • ガラクトース:160℃前後
  • 砂糖(ショ糖):160〜170℃前後
  • 麦芽糖(マルトース):180℃前後

どの糖も、水の沸点の100℃より高い温度が必要です。メイラード反応と同じように、表面が乾いてからでないと進みません。

カラメル化は、中性(pH7前後)でいちばん遅く、酸性でもアルカリ性でも速くなります。

メイラード反応とカラメル化の違い

  • 材料:メイラード反応はアミノ酸と還元糖。カラメル化は糖だけ
  • 温度:メイラード反応は120℃前後から始まり、140〜165℃あたりで勢いよく進む。カラメル化は糖の種類によって105〜180℃前後
  • 香り:メイラード反応は香ばしい焙煎の香りや肉の香り。カラメル化は甘くほろ苦い、カラメルの香り

肉の焼き色は、ほとんどがメイラード反応です。肉には糖が少ないので、ステーキを焼いても、カラメル化はほとんど起きません。逆に、砂糖をまぶしたものや糖の多い野菜を焼くと、2つの反応が一緒に起きます。

茶色い玉ねぎは、2つの反応の合わせ技

玉ねぎをフライパンでじっくり炒めると、30〜45分ほどで濃い茶色になり、甘く香ばしい香りが出てきます。英語では「キャラメライズド・オニオン(カラメル化した玉ねぎ)」と呼びますが、実際にはカラメル化とメイラード反応の両方が起きています。米国の玉ねぎの業界団体も、2つの反応が一緒になって、あの濃い黄金色を作ると説明しています。

フライパンでじっくり炒めて濃い茶色になった玉ねぎと、器に入った炒める前の薄切り玉ねぎ

玉ねぎを早く茶色くしたいときは、重曹をほんの少し加える方法があります。重曹で玉ねぎがアルカリ性に傾き、メイラード反応が速く進むからです。玉ねぎ450gに対して重曹小さじ1/8(約0.5g)ほどで、色づくのが早くなります。ただし、入れすぎると玉ねぎが崩れて、ジャムのようにとろとろになります。形を残したいときは、重曹なしでゆっくり炒めます。

エローテとスペアリブ

メキシコの屋台の焼きとうもろこし「エローテ」も、2つの反応の合わせ技です。エローテはナワトル語で「やわらかいとうもろこし」を意味し、ゆでたものと、炭火で焼いたものがあります。焼くときは、皮付きのまま皮が焦げ始めるまで焼いたり、皮をむいて実に焦げ目をつけたりします。スイートコーンはふつうのとうもろこしより糖が多く、焼くと実の表面でメイラード反応とカラメル化が起きて、屋台の香ばしい香りになります。この料理の作り方は、こちらの記事で紹介しています。

家庭のオーブンで作るエローテメキシコの屋台の焼きとうもろこしエローテを、家庭のオーブンのグリル機能や魚焼きグリルで。焦げ目をつけてマヨネーズ、チーズ、タヒン、ライムで仕上げます。とれたてが甘い理由、焦げ目の香りのメイラード反応とカラメル化を料理科学で解説します。

アメリカ南部のスペアリブでは、ブラウンシュガーを使ったラブ(すり込むスパイス)が、焼くうちに溶けて甘く香ばしい皮になります。砂糖を多く使うので、温度が高すぎるとカラメル化を通り越して黒く焦げてしまいます。この料理の作り方は、こちらの記事で紹介しています。

家庭のオーブンで作るBBQスペアリブアメリカのBBQの定番、豚のスペアリブを燻製器ではなく家庭のオーブンで。ドライラブをまぶして140℃で焼き、ホイルで包んで骨の間の肉を93〜96℃に。膜をはがす理由、砂糖のカラメル化、コラーゲンのゼラチン化を料理科学で解説します。

焦げ(炭化)との境目と、苦味

茶色は香り、黒は炭

焼き色をつけすぎると、やがて黒く焦げます。焦げは、メイラード反応やカラメル化とは別のものです。高い熱で食材が不完全に燃え、水分や香りの成分が抜けて、炭素がほとんどの「炭」が残った状態です。

BBQの科学で知られるミートヘッド・ゴールドウィンは、これを「茶色は複雑な抒情詩、黒は炭素だ」と表現しています。茶色のうちは何百種類もの香りがありますが、黒くなるとその香りは失われ、苦味が残ります。カラメル化も、行き着くところまで進めると苦くなります。ほぼ完全にカラメル化させて作る着色料のカラメル色素は、黒っぽく苦い液体です。

乾燥唐辛子は焦げやすい

メキシコ料理では、乾燥唐辛子を焙煎してからソースに使います。焙煎すると、唐辛子の香りがぐっと深くなります。ただし、乾燥唐辛子は水分がほとんどないので、表面の温度がすぐに上がり、あっという間に焦げます。ATKは、フライパンで焙煎するとすぐに焦がしてしまい、苦味が出やすいと注意しています。ATKのおすすめは、175℃前後のオーブンで、香りが立って少し膨らむまで6分ほど焼く方法です。

アル・パストールの漬けだれに使うグアヒージョも、焙煎してから使う乾燥唐辛子です。唐辛子は乾燥や燻製で名前が変わり、焙煎の仕方でも香りが変わります。唐辛子の名前と、乾燥・焙煎の科学は、こちらの記事で紹介しています。

ハラペーニョがチポトレになる:生と乾燥で名前が変わるメキシコの唐辛子ハラペーニョはチポトレに、ポブラノはアンチョに。メキシコの唐辛子が生と乾燥で名前を変える理由と4つの組み合わせ、乾燥で色と香りが変わるメイラード反応、チポトレの煙の香りの正体、苦くしない焙煎と戻し方が分かります。

焼いたトマトのサルサ・ロハ

メキシコの赤いサルサ「サルサ・ロハ」には、トマトを焼いてから作るものがあります。メキシコ料理の料理家パティ・ヒニッチのレシピでは、トマトをコマル(丸くて平たい鉄板)やスキレットにのせて中火で15〜20分、ときどき返しながら、やわらかく崩れて全体に焦げ目がつくまで焼きます。そして皮もむかずに、そのままミキサーにかけます。

焼いたトマトは、乾いた鉄板に触れた面から水分が飛び、そこに焼き色がつきます。焼き色の香ばしさが、生のトマトで作るサルサとは違う、深い味になります。ただし、黒い焦げは苦味のもとです。焦げ目はところどころにとどめ、皮全体を真っ黒にしないようにします。この料理の作り方は、こちらの記事で紹介しています。

本場サルサ・ロハのレシピメキシコの焼いた赤いサルサ、サルサ・ロハを家庭で。トマト、玉ねぎ、にんにく、チレ・デ・アルボルを鉄のフライパンや魚焼きグリルで焦げ目がつくまで焼き、すりつぶします。メイラード反応とカラメル化、焦げと苦みの関係を料理科学で解説します。

「焼き付けで肉汁を閉じ込める」は誤り

150年以上前の説

「最初に強火で焼き付けて、肉汁を閉じ込める」という説を唱えたのは、ドイツの化学者ユストゥス・フォン・リービッヒです。1850年ごろのことです。

ところが、1930年代の実験では、焼き付けたローストは、焼き付けなかったものと同じか、それ以上に水分を失っていました。料理科学の第一人者ハロルド・マギーは、「肉の表面にできる焼き色の層は、防水ではない。料理をする人なら誰でも経験しているとおりだ」と書いています。焼いている肉がジュージューと音を立て続けるのは、肉の水分が外に出て、蒸発し続けている音です。

実験でも、焼き付けたほうが水分が減る

  • アメリカの料理番組の司会者オールトン・ブラウンの実験では、焼き付けなかったステーキは重さが13%減り、焼き付けたステーキは19%減りました
  • ATKの雑誌『クックス・イラストレイテッド』は、8枚のリブアイで試し、「肉汁を閉じ込めるという考えは、昔からの言い伝えにすぎない」と結論づけています

焼き付けたほうが水分が減りやすいのは、高温で表面近くの細胞がより多く壊れるからです。

それでも焼き付ける理由は「風味」

焼き付けに意味がないわけではありません。焼き付けは、メイラード反応で表面を茶色く香ばしくし、香りとうま味を加えるためのものです。

厚い肉では、先に低い温度でじっくり火を通し、最後に強火で焼き色をつける方法もよく使われます。表面がすでに乾いているので、短い時間でしっかり焼き色がつきます。ブラジルのシュラスコでおなじみの牛肉ピッカーニャを、この順番で焼く作り方は、こちらの記事で紹介しています。

家庭のオーブンで作るピッカーニャ(シュラスコ)ブラジルのシュラスコで一番人気の牛肉、ピッカーニャ(イチボ)を家庭のオーブンで。120℃で中心温度50℃まで焼き、最後に脂の面をスキレットで焼くリバースシアで仕上げます。脂のレンダリングや粗塩を使う理由を料理科学で解説します。

メキシコとテキサスの焼き色

アル・パストール:外側の焼けたところを削ぐ

アル・パストールは、漬けだれに漬けた豚肉を「トロンポ(スペイン語で『こま』)」と呼ばれる縦型の回転焼き器に積み重ね、炭火やガスの火でゆっくり焼くタコスです。中東のシャワルマ(羊肉の回転焼き)を、メキシコに移り住んだレバノン系の人たちが持ち込んだのが始まりとされています。肉は、外側に焼き色がついたところから薄く削ぎ落とされ、トルティーヤにのせられます。

いちばん香ばしい焼き面を次々と食べる料理です。料理家リック・ベイレスは、家庭版では肉を片面だけ焼いて、アル・パストールらしいカリッとした焦げ目を再現しています。この料理の作り方は、こちらの記事で紹介しています。

家庭のオーブンで作るタコス・アル・パストールメキシコシティの屋台の定番タコス・アル・パストールを家庭のオーブンで。唐辛子とアチョーテに漬けた薄切り豚肉を型に重ねて焼き、削いでスキレットで焼き付けます。パイナップルの酵素、唐辛子の焙煎、メイラード反応を料理科学で解説します。

カルネ・アサーダとケサビリア

メキシコ北部のヌエボ・レオン州やソノラ州で生まれたとされるカルネ・アサーダは、焦げ目の香りを味わう焼き肉です。メキシコでは「カルネ・アサーダ」という言葉が、家族や親しい友人と集まって肉を焼く会そのものを指すこともあります。

ティフアナで生まれたケサビリアは、ビリア(唐辛子で煮込んだ肉)とチーズをトルティーヤにはさんで焼くタコスです。トルティーヤを煮汁の赤い脂にくぐらせてから鉄板で焼きます。脂は100℃を超えて熱くなるので、トルティーヤの表面の水分がすぐに飛び、揚げ焼きのようにカリッと香ばしく焼き色がつきます。この料理の作り方は、こちらの記事で紹介しています。

家庭のオーブンで作るビリア(ケサビリアタコス)メキシコ・ハリスコ州生まれ、ティフアナ式の牛肉のビリアを家庭のオーブンで。唐辛子のアドボに漬けた牛すね肉をダッチオーブンで3時間煮込み、ケサビリアタコスにします。ゼラチンのコク、オーブンで焦げつかない理由、赤い脂の正体を料理科学で解説します。

豚肉を脂でカリッと香ばしく仕上げるカルニタスも、表面の焼き色が味の決め手になる料理です。

家庭のオーブンで作るカルニタス(メキシコ式)メキシコ・ミチョアカン州のカルニタスを、ダッチオーブンと家庭のオーブンで。豚肩ロースをラードで煮て、水分が飛んだら表面をカリッと仕上げます。水が温度にブレーキをかける仕組み、ラードの役割、オレンジや牛乳、コーラの効果を料理科学で解説します。

BBQのバーク:低温でも、時間をかけてメイラード反応

テキサスのブリスケットやアメリカ南部のBBQでは、長時間いぶした肉の表面にできる、黒っぽく硬い皮を「バーク(樹皮)」と呼びます。ピットマスター(BBQの職人)が大切にする部分です。

BBQは、100〜110℃前後の低い温度で焼きます。それでもメイラード反応は、時間をかけてゆっくり進みます。ミートヘッドの解説では、バークは次のようにしてできます。

  • ラブが溶ける:塩、こしょう、砂糖、パプリカなどのラブが、肉の水分と脂に溶けて、表面にどろりとした層を作ります
  • 表面が乾く:肉の表面から水分が蒸発していくと、やがてラブの層が乾き、メイラード反応が始まります
  • たんぱく質がつながる:表面のたんぱく質が互いに強くつながり、一度できると溶けない硬い膜になります
  • 煙の粒がつく:煙の細かい粒が表面にくっついて、色をさらに濃くします。煙なしで焼くと、バークは濃い赤茶色になります

ミートヘッドによると、砂糖は150℃前後(華氏300度)を超えないとカラメル化しないので、BBQの温度では、バークの色にカラメル化はほとんど関係しません。黒っぽいバークは、焦げでもカラメルでもなく、長い時間をかけたメイラード反応と、煙の色なのです。この料理の作り方は、こちらの記事で紹介しています。

家庭のオーブンで作るブリスケットテキサス中部のBBQの名物ブリスケットを、燻製器ではなく家庭のオーブンで。塩と黒こしょうだけで140℃で焼き、ブッチャーペーパーで包んで中心温度93〜96℃に仕上げます。ストール、休ませる理由、繊維を断つ切り方を料理科学で解説します。

まとめ

  • 焼き色の正体は、アミノ酸と還元糖のメイラード反応と、糖だけが分解するカラメル化。肉の焼き色はほとんどがメイラード反応
  • どちらも100℃を超えないと進まない。表面の水けをふき、塩は直前か40分以上前にふり、フライパンに詰め込まない
  • メイラード反応はアルカリ性で速く進む。カラメル化は糖の種類で始まる温度が違い、果糖がいちばん低い
  • 黒い焦げ(炭化)は別もの。香りが失われ、苦味になる。乾燥唐辛子はとくに焦げやすい
  • 焼き付けで肉汁は閉じ込められない。焼き付けるのは、焼き色の香りとうま味のため

もっと知りたい人へ

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出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成したものです。