白い器に入った、焦げの黒い粒と唐辛子の種が混じる赤茶色のサルサ・ロハ。右奥に乾燥した赤唐辛子とライム
サルサと豆

本場サルサ・ロハのレシピ

地域
メキシコ全土
分量
作りやすい分量・約400ml
公開

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サルサ・ロハは、トマトと唐辛子を焦げ目がつくまで焼いてからすりつぶす、メキシコの赤いサルサです。生のトマトで作るピコ・デ・ガヨとは違い、焼いたトマトの甘みと香ばしさ、ほのかな苦みが特徴です。

本場ではコマルと呼ばれる鉄板で焼きますが、家庭のフライパンや魚焼きグリルでも同じように作れます。

本場のサルサ・ロハとは

サルサ・ロハ(salsa roja)は、スペイン語で「赤いソース」という意味です。トマトと唐辛子で作る赤いサルサの総称で、地域や店ごとに材料も作り方もさまざまです。

今回作るのは、材料を直火や鉄板で焼いてから作る「サルサ・ロハ・アサダ(焼いた赤いサルサ)」です。メキシコでは材料を黒く焦げ目がつくまで焼くことを「タテマール(tatemar)」と言い、焼いた野菜で作るサルサは家庭でもタコスの屋台でも定番です。タコスの屋台で出されるサルサは「サルサ・タケラ(タコス屋のサルサ)」とも呼ばれます。

焼くのに使うのは、「コマル」と呼ばれる丸くて平たい鉄板や素焼きの板です。コマルはトルティーヤを温めるのにも使う、メキシコの台所に欠かせない道具です。

唐辛子には、乾燥した「チレ・デ・アルボル」をよく使います。アルボル(árbol)はスペイン語で「木」の意味で、細長く真っ赤な唐辛子です。辛さは日本の鷹の爪と同じくらいかやや穏やかで、焼くと香ばしい香りが出ます。

サルサ・ロハのレシピ:材料(作りやすい分量・約400ml)

  • トマト(完熟したもの)4個(600g)
  • チレ・デ・アルボル(乾燥)(Amazon|楽天)3〜6本
  • 白玉ねぎ(または玉ねぎ)50g1cm幅の輪切り1枚
  • にんにく(皮付き)2片
  • 塩小さじ1(6g)
  • シラントロ(パクチー、好みで)みじん切り大さじ2(5g)

チレ・デ・アルボルは本数で辛さを調整します。3本で中辛、6本でかなり辛くなります。手に入らないときは、日本の鷹の爪で代用できます。

トマトは、イタリアントマトのように果肉の厚いものが向いています。メキシコでよく使われるのは、ローマトマトと呼ばれる細長いトマトです。

道具

  • 鉄のフライパン、または魚焼きグリル:フッ素樹脂加工のフライパンは、何も入れずに強火で長く焼くとコーティングが傷むので使わない(Amazon|楽天)
  • ミキサー、またはモルカヘテ(溶岩石のすり鉢)(Amazon|楽天)

作り方

  1. トマトを焼く

    鉄のフライパンを中火で熱し、油をひかずにトマト、玉ねぎ、皮付きのにんにくを並べる。ときどき転がしながら、トマトの皮が大きく黒く焦げ、全体がやわらかくなるまで15〜20分焼く。にんにくは皮に焦げ目がついて中が柔らかくなったら、玉ねぎは両面に焦げ目がついたら、先に取り出す。

  2. 唐辛子を焼く

    火を弱め、チレ・デ・アルボルのへたを取ってフライパンに入れる。返しながら、色が少し濃くなって香ばしい香りが立つまで20〜30秒焼いて取り出す。黒くなるまで焼くと苦くなるので注意する。

  3. にんにくの皮をむく

    にんにくが冷めたら皮をむく。

  4. すりつぶす

    ミキサーにトマト(皮と焦げごと)、玉ねぎ、にんにく、唐辛子、塩を入れ、少し粒が残る程度まで攪拌する。モルカヘテを使う場合は、先に唐辛子、にんにく、塩をすりつぶしてから、玉ねぎ、トマトの順に加えてつぶす。

  5. 仕上げる

    味をみて塩で調える。好みでシラントロを混ぜる。

鋳鉄のフライパンで皮に黒い焦げ目をつけたトマト3個と輪切りの玉ねぎ、皮付きのにんにく、軽く焼いた赤いチレ・デ・アルボル

魚焼きグリルで焼く場合

両面焼きのグリルなら、トマト、玉ねぎ、にんにくをアルミホイルにのせて強火で10〜15分、トマトの皮が黒く焦げて柔らかくなるまで焼きます。片面焼きのグリルなら、途中で上下を返します。唐辛子はグリルだとすぐに焦げるので、フライパンで手順2のように焼いてください。

料理科学:焼いて焦がすとなぜおいしくなるのか

焼き色と香りは「メイラード反応」と「カラメル化」

トマトを焦げ目がつくまで焼くと、生のトマトにはない甘く香ばしい香りが生まれます。この香りのもとになっているのが、「メイラード反応」と「カラメル化」という2つの反応です。

メイラード反応は、食材に含まれる糖とアミノ酸(たんぱく質のもとになる成分)が熱で反応して、褐色の色と香ばしい香りを作る反応です。パンの焼き色や、焼いた肉の香りもこの反応によるものです。トマトには糖と、うま味のもとになるアミノ酸のグルタミン酸が多く含まれているので、焼くと香ばしい香りが強く出ます。

カラメル化は、糖だけが熱で分解して、褐色の色と甘く香ばしい香りを作る反応です。プリンのカラメルソースはこの反応で作ります。トマトに含まれる果糖は、糖の中でも低めの温度からカラメル化が始まる糖です。

どちらの反応も、水が残っているうちは進みにくく、表面の水分が飛んで温度が100℃を大きく超えたところで盛んに進みます。だから、ゆでたり煮たりしたトマトではなく、乾いた鉄板で表面を焦がすことが大切です。

メイラード反応とカラメル化の違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。

メイラード反応とカラメル化:焼き色と香りの正体焼いた肉や玉ねぎが茶色く香ばしくなる理由を、メイラード反応とカラメル化の違いから解説します。焼き色は表面が乾いてからつく仕組み、焦げとの境目、焼き付けで肉汁は閉じ込められない理由、BBQのバークの正体が分かります。

焦げは少しなら香り、多すぎると苦み

トマトの皮が黒く焦げた部分は、さらに高い温度で糖やたんぱく質が分解したものです。少しなら燻したような香りとほろ苦さになりますが、多すぎると苦みが強くなります。

本場では、焦げた皮も取らずにそのまますりつぶします。手順4で皮ごとミキサーにかけるのはこのためです。ただし皮全体が真っ黒になるまで焼いたときは、焦げのいちばんひどい部分だけ取り除くと苦みが強くなりすぎません。

唐辛子は数十秒で焼き上がる

乾燥唐辛子は水分がほとんどないので、トマトよりずっと早く温度が上がり、あっという間に焦げてしまいます。焼くと香ばしい香りが出ますが、黒く焦げると強い苦みが出て、サルサ全体が苦くなります。手順2で火を弱めて数十秒だけ焼くのはこのためです。

チレ・デ・アルボルなど乾燥唐辛子の名前と、苦くしない焼き方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

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本場との違い

  • 焼く道具:本場ではコマルや直火で焼きます。家庭では鉄のフライパンや魚焼きグリルで同じように焼けます。
  • すりつぶす道具:本場ではモルカヘテですりつぶし、粗い食感に仕上げることも多いです。ミキサーを使う場合も、なめらかにしすぎず少し粒を残すと本場の食感に近づきます。

食べ方

  • タコス:牛肉や豚肉のタコスに合います。カルニタスにもよく合います。
  • トルティーヤチップス:チップスにつけて食べます。
  • 卵料理:目玉焼きをサルサ・ロハで食べる「ウエボス・ランチェロス」は、メキシコの朝ごはんの定番です。

サルサ・ロハに合うタコスの作り方も紹介しています。

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保存

清潔な保存容器に入れて冷蔵で4〜5日が目安です。小分けにして冷凍すれば1か月程度保存できます。

もっと知りたい人へ

メイラード反応やカラメル化をはじめ、料理の科学を詳しく知りたい人には、料理科学の定番の本があります。

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出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成したものです。