
家庭のオーブンで作るナチョス
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ナチョスは、トルティーヤチップスに溶けたチーズとハラペーニョをのせた、テックスメックスを代表するおつまみです。ひき肉や豆、ワカモレ、サワークリームをたっぷりのせれば、パーティーの主役になります。
天板にチップスを広げてオーブンで焼けば、大人数分を一度に作れます。ただし、具をのせすぎるとチップスがすぐにしけってしまいます。のせる順番と焼き方を少し工夫すれば、最後までパリッとしたナチョスが作れます。
本場のナチョスとは
「ナチョのスペシャル」
ナチョスが生まれたのは、1943年のメキシコ北部、コアウイラ州の町ピエドラス・ネグラスです。アメリカ・テキサス州の町イーグルパスと川をはさんで向かい合う、国境の町です。
ある日、地元のレストラン「ビクトリー・クラブ」に、イーグルパスの基地に駐留していたアメリカ軍の将校の妻たちがやってきました。料理人が不在だったため、給仕長のイグナシオ・アナヤがありあわせの材料で、揚げたトルティーヤにチーズとハラペーニョの酢漬けをのせて出しました。料理の名前を聞かれたアナヤは、「ナチョのスペシャルとでも呼びましょうか」と答えたといいます。ナチョ(Nacho)は、イグナシオという名前の愛称です。
ピエドラス・ネグラスにはアナヤをたたえる記念の銘板があり、10月21日は「国際ナチョスの日」とされています。
野球場で広まったチーズソースのナチョス
ナチョスがアメリカ中に広まったきっかけは、野球場でした。1976年、テキサス州アーリントンの野球場で、食品会社の経営者フランク・リベルトが、温めたチーズソースをチップスにかけるだけのナチョスを売り出しました。チーズを削って焼く手間がなく、売店ですぐに出せるこのナチョスは「ボールパーク(野球場)ナチョス」と呼ばれ、全米のスタジアムや映画館に広がりました。
今では、ひき肉や豆、ワカモレなどをたっぷりのせた「ローデッド・ナチョス」がレストランの定番です。テネシー州メンフィスでは、BBQのプルドポークとBBQソースをのせた「BBQナチョス」も人気です。
ナチョスのレシピ:材料(4人分・天板1枚)
ローデッド・ナチョス
ひき肉の味つけ
焼いた後にのせるもの
- サワークリーム大さじ4(60g)
- ワカモレ大さじ4(60g)
- ピコ・デ・ガヨ大さじ4(60g)
- シラントロ(パクチー)みじん切り大さじ2
チーズはブロックを買って自分で削ってください。袋入りのシュレッドチーズは、くっつかないように粉がまぶしてあり、溶けたときになめらかになりにくくなります。
元祖のナチョス(シンプル版)
道具
作り方
オーブンを予熱する
オーブンを220℃に予熱する。
ひき肉を炒める
フライパンにサラダ油を中火で熱し、ひき肉を広げて2分ほど動かさずに焼き、焼き色がついたらほぐしながら炒める。肉の色が変わったらチリパウダー、クミン、ガーリックパウダー、塩を加えて1分炒める。脂が多く出たらキッチンペーパーで吸い取る。
チーズを削る
チェダーとモントレージャックを粗く削って混ぜる。
1段目を重ねる
天板にオーブンシートを敷き、トルティーヤチップスの半量を重なりすぎないように広げる。チーズの半量を全体に散らし、ひき肉、ブラックビーンズ、ハラペーニョの半量をのせる。
2段目を重ねる
残りのチップスを上に広げ、残りのひき肉、ブラックビーンズ、ハラペーニョをのせ、残りのチーズを全体に散らす。
焼く
220℃のオーブンで6〜8分、チーズが溶けてふつふつと泡立つまで焼く。
仕上げる
焼き上がったら、サワークリーム、ワカモレ、ピコ・デ・ガヨを点々とのせ、シラントロを散らす。すぐに食べる。
チップスを天板に一層に並べ、1枚ずつに削ったチーズとハラペーニョのスライスを1切れのせて、220℃で4〜5分焼きます。アナヤが最初に作ったナチョスは、この形でした。
料理科学:チップスがしけるのはなぜか
乾いたものは水を吸う
トルティーヤチップスは、トルティーヤを揚げて水分を飛ばした、とても乾いた食べ物です。乾いた食べ物と水分の多い食べ物を一緒に置いておくと、水分は多いほうから少ないほうへ移っていきます。ナチョスでは、サルサやサワークリーム、豆から、乾いたチップスへ水分が移っていきます。
チップスがパリッとしているのは、水分が少ないときに、でんぷんがガラスのように硬くもろい状態になっているからです。ここに水分が入り込むと、でんぷんは柔らかくゴムのような状態に変わり、パリッとした食感が失われます。せんべいやクラッカーが、湿気を吸うとしなしなになるのと同じ仕組みです。
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水分の多い具は焼いた後にのせる
手順7で、サワークリームやワカモレ、ピコ・デ・ガヨを焼いた後にのせるのはこのためです。水分の多い具をのせて焼くと、オーブンの熱で水分が蒸気になり、チップス全体にしみ込んでしまいます。焼く前にのせるのは、チーズやひき肉のように水分の少ない具だけにします。
ブラックビーンズは汁をよくきり、ひき肉は脂と水分をしっかり飛ばしてからのせます。食べる直前にのせて、すぐに食べるのがいちばんです。
チーズは水分を防ぐ「壁」になる
溶けたチーズは、脂を多く含んでいます。脂は水をはじくので、チップスの上を溶けたチーズが覆うと、上にのせた具の水分がチップスにしみ込みにくくなります。手順4でチップスの上に先にチーズを散らしてから具をのせるのは、チーズを水分の壁にするためです。
高温で短時間に焼く理由
220℃の高温で短時間に焼くのは、チーズだけを手早く溶かして、チップスが乾燥しすぎたり焦げたりしないようにするためです。低温で長く焼くと、チーズが溶けるまでのあいだに具の水分がチップスへ移り、チーズからも脂が分離してしまいます。
チェダーやモントレージャックのように、熟成期間の短いチーズは、たんぱく質の網がしなやかで、よく溶けてよく伸びます。長く熟成させたチーズは、たんぱく質が分解されているので、溶けたときに脂が分離しやすく、ナチョスには向きません。
本場との違い
- チーズ:アナヤの元祖ナチョスでは、アメリカのチーズ(コルビーなど)が使われたといわれています。日本で手に入りやすいチェダーとモントレージャックにしています。
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食べ方
- チーズソースで:野球場のナチョスのように、チップスに温めたケソ(チーズディップ)をかけて食べるのもおすすめです。
- BBQナチョス:ひき肉の代わりにプルドポークをのせ、BBQソースをかけるとメンフィス風になります。
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保存
ナチョスは作りたてを食べるのがいちばんです。作りおきするなら、ひき肉だけを冷蔵で3日程度保存し、食べるときにチップスとチーズで焼いてください。
もっと知りたい人へ
チーズや乾いた食べ物が水分を吸う仕組みなど、食材の科学を詳しく知りたい人には、料理科学の定番の本があります。
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出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成したものです。