器に盛ったピコ・デ・ガヨ。角切りのトマトに刻んだ玉ねぎ、青唐辛子の輪切り、シラントロが混ざり、右に半分に切ったライム
サルサと豆

本場ピコ・デ・ガヨ(サルサ・メヒカーナ)のレシピ

地域
メキシコ全土
分量
4人分・約400g
公開

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ピコ・デ・ガヨは、刻んだトマトと玉ねぎ、唐辛子、シラントロ(パクチー)をライムと塩で和えた、火を使わないメキシコのサルサです。タコスにのせても、トルティーヤチップスですくっても合います。

材料を切って混ぜるだけですが、水っぽくなる、玉ねぎの辛味が立つなど、意外と失敗しやすい料理です。

本場のピコ・デ・ガヨとは

ピコ・デ・ガヨ(pico de gallo)は、スペイン語で「雄鶏のくちばし」という意味です。名前の由来ははっきりしていません。メキシコ北部のソノラ州では、材料のセラーノ唐辛子の形が雄鶏のくちばしに似ているからだと言われています。ほかに、もともと指でつまんで食べたからという説や、刻んだ具が鳥のエサに似ているからという説もあります。

メキシコでは「サルサ・メヒカーナ(メキシコのソース)」と呼ぶのが一般的です。トマトの赤、玉ねぎの白、唐辛子とシラントロの緑がメキシコの国旗の色なので、「サルサ・バンデラ(旗のソース)」とも呼ばれます。ほかに「サルサ・フレスカ(新鮮なソース)」「サルサ・クルーダ(生のソース)」などの呼び名もあります。

日本で「サルサ」というと、トマトをすりつぶした瓶詰めのソースを思い浮かべるかもしれません。サルサ(salsa)はスペイン語で「ソース」という意味で、メキシコには焼いたトマトで作るサルサ・ロハや、トマティーヨで作るサルサ・ベルデなど、たくさんの種類があります。その中でピコ・デ・ガヨは、液体のソースというより刻んだ野菜のサラダに近いサルサです。

なお、メキシコの地域によっては、ピコ・デ・ガヨはきゅうりやヒカマ(中南米のかぶに似た芋)、果物などをライムと唐辛子の粉で和えたサラダのことも指します。この記事では、もっとも広く知られているトマトのピコ・デ・ガヨを作ります。

ピコ・デ・ガヨのレシピ:材料(4人分・約400g)

  • トマト(完熟したもの)3個(450g)
  • 白玉ねぎ(または玉ねぎ)1/4個(60g)
  • セラーノ唐辛子またはハラペーニョ(生)(Amazon|楽天)1〜2本(10〜20g)
  • シラントロ(パクチー)1/2束(10g)
  • ライム汁大さじ1(15ml)
  • 塩小さじ1/2(3g)

セラーノとハラペーニョは、どちらもメキシコの代表的な青唐辛子です。本場ではセラーノを使うことが多く、ハラペーニョより細くて辛味が強めです。日本ではどちらも生のものは手に入りにくいですが、ハラペーニョは国産の生のもの(夏から秋)や冷凍のものが通販で買えます。手に入らないときは、瓶詰めのハラペーニョの酢漬け(Amazon|楽天)を刻んで使っても作れます。酢漬けを使うときは、酸味が加わるのでライム汁を少し減らしてください。

トマトは、イタリアントマトのように果肉が厚く、中のゼリー部分が少ない品種が向いています。メキシコでもよく使われるのは、ローマトマトと呼ばれる細長いトマトです。普通の丸いトマトで作るときは、後で説明する「塩で水を抜く」手順を入れると水っぽくなりません。

シラントロ(cilantro)は、メキシコやアメリカでのパクチーの呼び名です。中国料理では「香菜(シャンツァイ)」とも呼ばれます。

道具

  • 包丁とまな板
  • ざる(目の細かいもの)とボウル

作り方

  1. トマトを切って塩をふる

    トマトはへたを取り、1cm角に切る。ボウルに重ねたざるに入れ、分量の塩のうち半量(1.5g)をふって軽く混ぜ、15〜30分おいて水けをきる。

  2. 玉ねぎを切って水にさらす

    玉ねぎを5mm角のみじん切りにし、ざるに入れて流水で30秒ほど洗う。キッチンペーパーで水けをしっかりふく。

  3. 唐辛子とシラントロを刻む

    唐辛子はへたを取ってみじん切りにする。辛さを抑えたいときは、縦半分に切って中の白いわたと種を取り除いてから刻む。シラントロは葉と柔らかい茎を細かく刻む。

  4. 和える

    ボウルにトマト、玉ねぎ、唐辛子、シラントロを入れ、ライム汁と残りの塩を加えてさっくり混ぜる。味をみて、塩とライム汁で調える。

  5. なじませる

    10〜15分おいて味をなじませる。作ってから2〜3時間以内に食べきるのがおすすめ。

料理科学:水っぽくならず、辛すぎないピコ・デ・ガヨにする

塩でトマトの水を抜く(浸透圧)

ピコ・デ・ガヨを作ってしばらくおくと、ボウルの底に水がたまります。これは塩がトマトから水分を引き出したためです。

野菜の細胞は、水を通す膜で包まれています。膜の外側の塩分が濃くなると、濃さを同じにしようとして細胞の中の水が外へ出ていきます。これを「浸透圧」による脱水と呼びます。漬物やきゅうりの塩もみと同じ仕組みです。

手順1でトマトにだけ先に塩をふるのは、和える前にこの水を出しきってしまうためです。トマトは水分が多く、とくに種のまわりのゼリー部分から水が出やすい野菜です。先に水を抜いておくと、和えた後に水っぽくなりにくく、トマトの味も濃く感じられます。

ざるの下にたまった汁は、トマトのうま味(グルタミン酸)が溶け出したおいしい汁です。捨てずに、スープやトマトソース、ブラッディ・マリーなどに使えます。

玉ねぎの辛味は水で洗い流せる

玉ねぎを切ると目にしみるのは、細胞が壊れると酵素が働いて、刺激のある硫黄化合物ができるからです。生の玉ねぎの辛味や鼻にツンとくる香りも、この硫黄化合物によるものです。

これらの化合物の多くは水に溶けやすいので、刻んだ玉ねぎをさっと洗うと辛味がやわらぎます。ただし長く水にさらすと、玉ねぎの甘みや香りまで抜けてしまいます。手順2で洗う時間を30秒ほどにしているのはこのためです。

唐辛子の辛さは「種」ではなく「わた」にある

「唐辛子は種が辛い」とよく言われますが、辛味成分のカプサイシンが多いのは、種のまわりの白いわた(胎座)の部分です。種そのものにはほとんど含まれていません。種が辛く感じるのは、わたに付いているからです。

手順3で辛さを抑えたいときにわたを取り除くのはこのためです。辛くしたいときは、わたごと刻みます。

トマトは冷蔵庫に入れない

トマトは冷蔵庫で冷やすと、香りが弱くなることがわかっています。アメリカのフロリダ大学などの研究では、トマトを5℃前後で1週間保存すると、香りのもとになる成分を作る遺伝子の働きが弱まり、常温に戻しても香りが完全には戻らなかったと報告されています。

完熟したトマトは常温で保存し、なるべく早く使うのがおすすめです。まだ青さが残るトマトも、常温において追熟させてから使います。

本場との違い

  • 玉ねぎ:メキシコでは辛味がおだやかで歯ざわりのよい白玉ねぎを使います。日本の一般的な玉ねぎ(黄玉ねぎ)でも、手順2のように洗えば同じように作れます。
  • ライム:メキシコの「リモン(limón)」は、日本でよく見かけるライムより小さく、香りの強いキーライムと呼ばれる品種です。日本で売られているライムでも十分おいしく作れます。

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食べ方

焼いた牛肉をのせたコーントルティーヤのタコス2つにピコ・デ・ガヨをたっぷりのせ、ライムを添えた皿

  • タコス:カルニタスやカルネ・アサーダ(焼いた牛肉)など、肉のタコスにのせると脂のこってり感を酸味が軽くしてくれます。
  • トルティーヤチップス:そのままチップスですくって食べます。
  • ブリトーボウル:ご飯や豆、肉と一緒に盛り付けます。
  • 卵料理:メキシコの朝ごはんの定番「ウエボス・ア・ラ・メヒカーナ」は、ピコ・デ・ガヨと同じ材料を炒めて卵と合わせた料理です。

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保存

冷蔵で当日中が目安です。時間がたつとトマトから水が出て、シラントロの色も悪くなります。作りおきするなら、トマト・玉ねぎ・唐辛子だけを刻んで別々に冷蔵しておき、食べる直前にシラントロとライム、塩で和えてください。

もっと知りたい人へ

メキシコのサルサやタコスを本場の味で作りたい人には、アメリカでメキシコ料理を広めた料理人リック・ベイレスの本があります(英語)。

Rick Bayless's Mexican Kitchen(Amazon)

出典

本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成したものです。