
本場ワカモレのレシピ
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ワカモレは、熟したアボカドをつぶして玉ねぎや唐辛子、シラントロ(パクチー)、ライム、塩と合わせたメキシコのディップです。日本でもすっかりおなじみになりましたが、本場の作り方は意外とシンプルで、マヨネーズもトマトも使いません。
本場のワカモレとは
ワカモレ(guacamole)の語源は、アステカの人々が話していたナワトル語の「アワカモリ(āhuacamōlli)」です。「アワカトル(āhuacatl)=アボカド」と「モリ(mōlli)=ソース」を合わせた言葉で、そのまま「アボカドのソース」という意味です。メキシコ料理の「モレ」も、同じ「モリ」から来た言葉です。
アボカドの原産地はメキシコから中米にかけての地域です。メキシコのテワカン渓谷では、およそ9000〜1万年前のアボカドの種が見つかっています。英語の「アボカド(avocado)」も、ナワトル語のアワカトルがスペイン語を経て変化した言葉です。
本場では、「モルカヘテ」と呼ばれる溶岩石のすり鉢で作ります。まず玉ねぎや唐辛子、シラントロを塩と一緒にすりつぶしてペーストにし、そこにアボカドを加えて粗くつぶします。そのままモルカヘテごと食卓に出すのが定番です。
アメリカでは、トマトやにんにく、クミン、サワークリームなどを加えたワカモレもよく見かけます。メキシコでもトマトを入れる地域や家庭はありますが、基本はアボカド、玉ねぎ、唐辛子、シラントロ、ライム、塩の6つです。
ワカモレのレシピ:材料(4人分)
日本のスーパーで売っているアボカドは、ほとんどがメキシコ産のハス種です。皮が黒くごつごつしていて、果肉はねっとりと濃厚です。
生の唐辛子が手に入らないときは、瓶詰めのハラペーニョの酢漬け(Amazon|楽天)を刻んで使えます。
道具
- モルカヘテ(溶岩石のすり鉢):本場の道具です。ざらざらした表面で玉ねぎや唐辛子がよくすりつぶせ、そのまま器としても使えます。なければ普通のすり鉢か、ボウルとフォークで作れます(Amazon|楽天)
- ポテトマッシャー(あれば):ボウルで作るときに、アボカドを手早く粗くつぶせます(Amazon|楽天)
アボカドの選び方と追熟
ハス種のアボカドは、熟すと皮が緑から黒っぽい紫に変わります。手のひらで包むように軽く握り、全体にわずかに弾力があれば食べごろです。指で強く押すと傷むので、軽く確かめる程度にします。
皮がまだ緑で硬いアボカドは、常温に置いておくと数日で熟します。アボカドは木になったままでは熟さず、収穫してから熟す果物です。熟すのを早めたいときは、りんごやバナナと一緒に紙袋に入れておきます。りんごやバナナが出す「エチレン」というガスが、熟すのを早めるからです。熟したアボカドは冷蔵庫に入れると、それ以上熟すのが遅くなります。
作り方
ペーストを作る
モルカヘテ(またはすり鉢)に玉ねぎ、唐辛子、シラントロの半量、塩を入れ、すりこぎで1〜2分すりつぶして粗いペーストにする。
アボカドを加える
アボカドを縦半分に切って種を取り、スプーンで果肉をすくってモルカヘテに加える。
粗くつぶす
すりこぎで押しつぶすようにして混ぜる。なめらかにしすぎず、小さなかたまりが残る程度にする。
仕上げる
ライム汁と残りのシラントロを加えて混ぜる。味をみて、塩とライム汁で調える。
ボウルで作るときは、手順1の材料を包丁でごく細かく刻み、塩と一緒にフォークの背でつぶしてからアボカドを加えます。
料理科学:アボカドはなぜ黒くなるのか
黒くなるのは酵素のしわざ
切ったアボカドを置いておくと、表面が茶色から黒っぽく変わっていきます。りんごやバナナ、ごぼうが茶色くなるのと同じで、「酵素的褐変」と呼ばれる現象です。
アボカドの細胞には、ポリフェノールという成分と、「ポリフェノールオキシダーゼ」という酵素が含まれています。ふだんは細胞の中で別々の場所にありますが、切ったりつぶしたりして細胞が壊れると、両者が出会います。そこに空気中の酸素が加わると、酵素がポリフェノールを酸化させ、最終的に茶色い色素ができます。
つまり、変色に必要なのは「壊れた細胞」「酵素」「酸素」の3つです。ワカモレはアボカドをつぶすので、丸のままのアボカドより変色が早く進みます。
ライムが変色を遅らせる理由
ワカモレにライム汁を入れるのは、味のためだけではありません。ライム汁には変色を遅らせる2つの働きがあります。
1つ目は酸です。ポリフェノールオキシダーゼは、酸性が強くなると働きが鈍くなります。2つ目はビタミンC(アスコルビン酸)です。ビタミンCは、酵素が作った茶色い色素のもとを元の成分に戻す働きをします。ビタミンCが残っているあいだは、色素ができにくくなります。
ただし、どちらも変色を遅らせるだけで、完全に止めることはできません。ライム汁を大量に入れると酸っぱくなりすぎるので、味のバランスがよい量にとどめます。
「種を入れておくと変色しない」は本当か
「ワカモレにアボカドの種を入れておくと黒くならない」という話がよく知られています。たしかに種を入れておくと、種の下の部分は緑のまま残ります。ただし種が変色を防ぐ成分を出しているわけではありません。種が表面を覆って空気に触れないようにしているだけです。
アメリカの科学ニュースサイト「Live Science」などでも、変色を防いでいるのは種の下の部分だけで、種のまわりは普通に黒くなると紹介されています。種の代わりにほかの物を置いても、同じように覆った部分だけが緑のまま残ります。
変色を防ぐなら、空気に触れる面をなくすのがいちばんです。ワカモレの表面を平らにならし、ラップを表面にぴったり押しつけて、すき間に空気が入らないようにします。
本場との違い
- 道具:本場ではモルカヘテで作り、そのまま器にします。すり鉢やボウルでも同じ味に作れますが、モルカヘテごと食卓に出すと本場らしい雰囲気になります。
- ライム:メキシコの「リモン(limón)」は、日本で売られているライムより小さく香りの強いキーライムです。日本のライムでも十分おいしく作れます。
食べ方

- トルティーヤチップス:もっとも定番の食べ方です。
- タコス:カルニタスなど、肉のタコスにのせます。
- ハードシェルタコス:アメリカ式のタコスにのせてもおいしく食べられます。
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保存
ワカモレは作りたてがいちばんおいしく、時間がたつほど色も香りも落ちていきます。残ったときは、保存容器に入れて表面を平らにならし、ラップを表面にぴったり押しつけてからふたをして、冷蔵で翌日までに食べきってください。表面が少し茶色くなったら、その部分を取り除けば下は緑のままです。
もっと知りたい人へ
アボカドが変色する仕組みをはじめ、野菜や果物の科学を詳しく知りたい人には、料理科学の定番の本があります。
マギー キッチンサイエンス(ハロルド・マギー『On Food and Cooking』の日本語版)(Amazon|楽天)
出典
- Wikipedia「Guacamole」
- Wikipedia「Avocado」
- Wikipedia「Polyphenol oxidase」
- Live Science「Can an Avocado Pit Really Keep Guacamole From Turning Brown?」
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成したものです。