
本場サルサ・ベルデのレシピ
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サルサ・ベルデは、「トマティーヨ」という緑の実で作るメキシコの緑のサルサです。さわやかな酸味があり、タコスの屋台では赤いサルサと並んで必ず置いてある定番のサルサです。
日本では生のトマティーヨはなかなか見かけませんが、缶詰を使えば家庭でも本場の味に近いサルサ・ベルデが作れます。
本場のサルサ・ベルデとは
サルサ・ベルデ(salsa verde)は、スペイン語で「緑のソース」という意味です。イタリアにもパセリなどの香草で作る同じ名前のソースがありますが、メキシコのサルサ・ベルデはトマティーヨで作る別の料理です。
トマティーヨという実
トマティーヨ(tomatillo)は、ナス科ホオズキ属の植物の実です。名前はスペイン語で「小さなトマト」という意味で、見た目は青いミニトマトに似ていますが、トマトとは別の植物です。実は紙のように薄い袋状のがくに包まれていて、日本のホオズキとよく似ています。

メキシコではヨーロッパ人がやってくる前から栽培され、マヤやアステカの料理ではトマトより重要な食材だったとも言われます。名前の語源は、ナワトル語でふくらんだ実を指す「トマトル(tomatl)」です。じつは英語の「トマト(tomato)」も同じ言葉から来ています。メキシコのスペイン語では、赤いトマトを「ヒトマテ(jitomate)」、トマティーヨを「トマテ・ベルデ(緑のトマト)」と呼び分けることもあります。
トマティーヨの皮には、がくの中でねばねばした膜がついています。学名の「イクソカルパ(ixocarpa)」は「ねばねばした実」という意味です。
日本で「食用ほおずき」として売られている黄色い実は、同じホオズキ属でも別の種類です。甘くてフルーツのように食べる実で、酸味の強いトマティーヨとは味が違うので、サルサ・ベルデには向きません。
生で作るか、煮て作るか
サルサ・ベルデには、トマティーヨを生のままミキサーにかける「クルーダ(生)」、ゆでてから作る「コシダ(煮た)」、焼いてから作る「アサダ(焼いた)」などの作り方があります。今回は、もっとも一般的なゆでて作るサルサ・ベルデを紹介します。缶詰のトマティーヨはすでに加熱してあるので、そのままミキサーにかければ同じ味になります。
サルサ・ベルデのレシピ:材料(作りやすい分量・約500ml)
生のトマティーヨは日本ではほとんど売られていないので、缶詰を使うのが手軽です。缶詰はメキシコの「ラ・コステーニャ」などの銘柄が約800g入り、業務用の大きな缶もあります。開けて余った分は、汁ごと保存容器に移して冷蔵し、数日で使いきるか冷凍してください。
道具
作り方
生のトマティーヨを使う場合
下ごしらえ
トマティーヨのがくを取り除き、水の中でこすり洗いして表面のねばねばを落とす。唐辛子はへたを取る。
ゆでる
鍋にトマティーヨと唐辛子を入れ、かぶるくらいの水を注いで中火にかける。沸騰したら弱火にして、トマティーヨの色が明るい緑からくすんだオリーブ色に変わり、柔らかくなるまで5〜10分ゆでる。皮が破れるほど煮すぎないようにする。
ミキサーにかける
トマティーヨと唐辛子をざるに上げて水けをきり、ミキサーに入れる。玉ねぎ、にんにく、シラントロ、塩小さじ1/2を加え、少し粒が残る程度まで攪拌する。かたいようなら、ゆで汁か水を少しずつ加える。
味を調える
味をみて塩で調える。冷蔵庫で30分ほど冷やすと味がなじむ。
缶詰のトマティーヨを使う場合
トマティーヨの汁をきる。唐辛子はへたを取って粗く刻む。
材料をすべてミキサーに入れ、少し粒が残る程度まで攪拌する。かたいようなら缶の汁か水を少しずつ加える。
味をみて塩で調え、冷蔵庫で30分ほど冷やす。
料理科学:トマティーヨの酸味と、冷やすととろみが出る理由
さわやかな酸味のもと
トマティーヨの酸味は、主にクエン酸とリンゴ酸によるものです。トマトよりも酸味が強く、甘みは控えめです。サルサ・ベルデにライム汁を入れないレシピが多いのは、トマティーヨそのものに十分な酸味があるからです。
この酸味が、カルニタスのような脂の多い豚肉や揚げ物とよく合います。こってりした料理の口の中をさっぱりさせてくれるので、タコスの屋台では欠かせないサルサになっています。
ゆでると色が変わる理由
手順2で、トマティーヨの色が明るい緑からオリーブ色に変わったらゆで上がりと書きました。この色の変化は、緑の色素クロロフィルが変化したものです。
クロロフィルは、加熱されると中心にあるマグネシウムが外れて、くすんだオリーブ色の色素に変わります。この変化は、酸があると早く進みます。ほうれん草をゆですぎたり、酢をかけておいたりすると茶色っぽくなるのと同じ仕組みです。トマティーヨは自分自身が酸っぱい実なので、ゆでるとすぐにオリーブ色になります。色が変わるのはちょうど火が通った合図なので、ゆで加減の目安になります。
ゆでたサルサ・ベルデはオリーブ色に近い緑、生で作るクルーダは明るい緑になります。
冷やすととろみが出るのはペクチンのため
できたサルサ・ベルデを冷蔵庫に入れておくと、少しとろみが増して、ぽってりした状態になります。これはトマティーヨに多く含まれる「ペクチン」によるものです。
ペクチンは植物の細胞どうしをつなぎとめている成分で、ジャムにとろみをつけるのにも使われます。トマティーヨは、同じホオズキ属の実と同じようにペクチンを多く含みます。ゆでたりミキサーにかけたりすると細胞が壊れてペクチンが溶け出し、冷えるにつれて液体にとろみがつきます。ペクチンは酸があるほうがとろみをつけやすい性質もあるので、酸っぱいトマティーヨはとろみが出やすい実です。
かたくなりすぎたときは、食べる前に水を少し加えて混ぜればゆるくなります。
本場との違い
- トマティーヨ:本場では生のトマティーヨを使います。缶詰はすでに加熱されているので、生をゆでて作るのに近い味になります。缶詰によっては塩が入っているので、塩は味をみながら加えてください。
- 唐辛子:本場ではセラーノを使うことが多く、ハラペーニョより辛味が強めです。
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食べ方
- タコス:カルニタスや、揚げたり焼いたりした豚肉・鶏肉のタコスにかけます。
- エンチラーダ・ベルデ:トルティーヤに鶏肉を巻き、サルサ・ベルデをかけて焼いた料理です。
- チラキレス・ベルデ:揚げたトルティーヤをサルサ・ベルデで煮る、メキシコの朝ごはんの定番です。
- 卵料理:目玉焼きにかけてもおいしく食べられます。
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保存
清潔な保存容器に入れて冷蔵で4〜5日が目安です。冷凍もでき、小分けにして1か月程度保存できます。解凍すると水が分かれることがあるので、よく混ぜてから使ってください。
もっと知りたい人へ
メキシコのサルサやタコスを本場の味で作りたい人には、アメリカでメキシコ料理を広めた料理人リック・ベイレスの本があります(英語)。
Rick Bayless's Mexican Kitchen(Amazon)
出典
- Wikipedia「Tomatillo」
- Wikipedia「Salsa verde」
- Wikipedia「Chlorophyll」
- Wikipedia「Pectin」
- 「Nutritive value of tomatillo fruit (Physalis ixocarpa Brot.)」Acta Societatis Botanicorum Poloniae
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成したものです。