
本場ファヒータのレシピ
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ファヒータは、焼いた牛肉の細切りとピーマン、玉ねぎを、熱々の鉄板ごとジュージューいわせながら食卓に運ぶ、テックスメックスの人気料理です。小麦粉のトルティーヤに肉と野菜をのせ、ワカモレやサワークリームを添えて、自分で巻いて食べます。
ファヒータに使う牛肉の部位は、日本の焼肉でおなじみの「ハラミ」です。鋳鉄のスキレットを強火でしっかり熱すれば、家庭でも本場の香ばしいファヒータが作れます。
本場のファヒータとは
カウボーイの「くず肉」から生まれた料理
ファヒータ(fajita)は、スペイン語で「帯」や「細長い布」を意味する「ファハ(faja)」に、小さいことを表す語尾をつけた言葉で、「細長い肉」という意味です。
ファヒータの始まりは、1930年代ごろのテキサス州南部と西部の牧場だとされています。牛を集める仕事のあいだ、メキシコ系のカウボーイ(バケーロ)たちには、売り物にならない部位が食事として配られました。その一つが、横隔膜の筋肉である「スカートステーキ」でした。カウボーイたちはこの肉をたき火で焼き、トルティーヤで包んで食べていました。
屋台からレストランの人気料理へ
ファヒータが商品として売られるようになったのは、1969年のことです。テキサス州オースティンの精肉店の店長ソニー・ファルコンが、テキサス州カイルの祭りでファヒータのタコスの屋台を出したのが、最初の商売だとされています。同じ年、テキサス州南部の町ファーのレストランでは、オティリア・ガルサが熱い鉄板にのせて出すスタイルを始めたといわれています。
その後、ヒューストンのメキシコ料理店「ニンファズ」や、オースティンのホテル「ハイアット・リージェンシー」のレストランで人気になり、ファヒータはアメリカ中に広まりました。メキシコでは、同じ部位を「アラチェラ」と呼び、焼いてタコスにした「タコス・デ・アラチェラ」が北部の定番です。
ファヒータのレシピ:材料(4人分)
肉とマリネ液
野菜
- 玉ねぎ1個(200g)
- ピーマン(緑)2個(60g)
- パプリカ(赤)1個(150g)
- サラダ油大さじ1(12g)
- 塩小さじ1/4(1.5g)
食べるときに
ハラミは、牛の横隔膜の筋肉で、アメリカで「スカートステーキ」と呼ばれる部位です。内臓の一部として扱われ、焼肉店ではおなじみですが、赤身のうま味が濃く、ファヒータにぴったりです。
道具
作り方
マリネする
ハラミの表面の白い膜や余分な脂を取る。マリネ液の材料を混ぜてハラミにからめ、冷蔵庫で1〜4時間おく。
野菜を切る
玉ねぎは1cm幅のくし形切り、ピーマンとパプリカは種を取って1cm幅に切る。
肉を焼く
スキレットを強火で3〜4分、煙が少し出るまで熱する。ハラミの汁けを軽くふき、スキレットに入れる。動かさずに3分焼き、濃い焼き色がついたら裏返して2〜3分焼く。
休ませる
肉をまな板に移し、5分休ませる。
野菜を焼く
同じスキレットにサラダ油を足して強火で熱し、玉ねぎ、ピーマン、パプリカを入れる。塩をふって、ところどころ焦げ目がつき、少ししんなりするまで4〜5分焼く。
肉を切る
ハラミの繊維の向きを確かめ、繊維を断つ向きに5mm厚さに切る。
盛り付ける
スキレットに野菜を広げ、その上に切った肉をのせる。強火で30秒ほど熱してジュージューと音を立てたら、鍋敷きにのせてそのまま食卓に出す。
トルティーヤを温める
トルティーヤをフライパンで片面20〜30秒ずつ温め、布巾で包んで冷めないようにする。肉と野菜、好みの具をのせて巻いて食べる。
料理科学:強い火力と、繊維を断つ切り方
ハラミは「繊維を断つ」と柔らかい
ハラミは、太い筋肉の繊維が肉の幅の方向に並んでいる部位です。繊維に沿って切ると、1切れの中に長い繊維がそのまま残り、かみ切れない硬い食感になります。繊維と直角に切ると、繊維が短く断ち切られて、柔らかく食べやすくなります。
ハラミの塊は細長い帯の形で、繊維はその帯を横切る向きに走っています。長い帯のままでは繊維を断つ向きに切りにくいので、まず帯を15cmくらいの長さに切り分け、その1切れを90度回して、繊維と直角に薄く切ってください。
鋳鉄のスキレットは温度が下がりにくい
肉を焼いて香ばしい焼き色をつけるには、高い温度が必要です。焼き色と香りは、肉のアミノ酸と糖が反応する「メイラード反応」によるもので、表面の温度が十分に高くないと進みません。
冷たい肉をフライパンに入れると、肉に熱を奪われてフライパンの温度が一気に下がります。温度が下がると、肉から出た水分が蒸発しきれずにたまり、肉は「焼ける」のではなく「煮える」状態になってしまいます。
厚い鋳鉄のスキレットは、薄いフライパンよりたくさんの熱をためこむことができます。手順3でスキレットを煙が出るまでしっかり熱しておくと、肉を入れても温度が下がりにくく、短時間で濃い焼き色がつきます。
焼き色と香りが生まれるメイラード反応は、こちらの記事で詳しく解説しています。
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ジュージューという音の正体
ファヒータを熱い鉄板で出すと、ジュージューと音を立て、湯気が立ち上ります。この音は、肉や野菜から出た水分や脂が熱い鉄板に触れて、一瞬で沸騰して蒸気になるときの音です。鋳鉄はたくさんの熱をためているので、食卓に出してからもしばらく音が続き、肉と野菜を温かく保ってくれます。
マリネは短時間でよい
マリネ液に長く漬けても、ライム汁の酸が効くのは肉の表面だけです。長く漬けすぎると、表面のたんぱく質が酸で変化して、ぼそぼそした食感になります。香りをつけるには1〜4時間で十分です。
本場との違い
- 火:本場は炭火のグリルで肉を焼くことも多いですが、家庭版は鋳鉄のスキレットで焼いています。
- トルティーヤ:テキサスのファヒータは、小麦粉のトルティーヤで包むのが一般的です。メキシコ北部のタコス・デ・アラチェラは、トウモロコシのトルティーヤを使うこともあります。
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食べ方
肉と野菜をトルティーヤにのせ、ワカモレやピコ・デ・ガヨ、サワークリーム、チーズを好みで加えて巻きます。ライムを搾るとさっぱりします。
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保存
- 冷蔵:肉と野菜を保存容器に入れて2日程度
- 温め直し:熱したフライパンで手早く炒めると、肉が硬くなりにくくなります
もっと知りたい人へ
肉の焼き方や切り方の科学を詳しく知りたい人には、料理科学の定番の本があります。
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出典
本文は上記の情報源を参考に、独自に再構成したものです。